ムサシノPeople interview vol.2③


ムサシノPeople interview


私たちが暮らしている地域には、人や街を大切に思いながら日々活躍している方々がたくさんいらっしゃいます。協同ネットに集い活動している若者たちも、そういった地域の方々に日頃から大変お世話になっています。

そんな日頃お世話になっている地域の方々のこれまでの人生にフォーカスしたお話をお聞きすることで、再び出会い直し、たくさんの刺激を受け、人生について考え学びたい!そしてもっともっと知り合いになりたい!という、ちょっぴり図々しい連載企画です。


ムサシノPeople interview vol.2③

中道通り商店会会長 坂井 健司 さん

株式会社プランニング・ジーン、株式会社PGスクエアの代表取締役

中道通り商店会会長、吉祥寺活性化協議会副会長


ABOUT /  坂井健司さん


略歴 高校時代から吉祥寺の街を遊び場に育ったこともあり、2002年企画運営会社を吉祥寺にて起業し、2005年中道通りに日本茶カフェ「おちゃらか」を出店したことを機に商店会活動を開始されています。

協同ネットの若者たちは、今年の年始に「武蔵野吉祥七福神めぐり」にボランティアスタッフとして参加させていただきました。昨年は他にも「青空市」や「なかよし祭り」など武蔵野市で開催されるイベントに沢山参加させていただいており、コロナ禍でイベントのない今の日常をとても寂しく感じています。

そんな中で、これからも武蔵野市との繋がりをつくり続けたいという思いと、勉強させていただきたい気持ちも含めて、今回は武蔵野市の地域活動で活躍されている坂井さんにお越しいただきました。


若者(インタビュアー)


なつみかん:ベーカリー研修を経て、現在はカフェ店勤務。地域の人たちにおいしいコーヒーを日々入れながら、将来は自分で店を出したいと考え、現在情報収集中。

おとくさん: DTP研修を経て、DTPデザインやグラフィックデザインの分野で働くことを目指し、現在就職活動中。

さっちゃん:おとくさんと同様、DTP研修を終えたばかり。現在、NPO法人わかもの就労ネットワークの「DEXIT」に登録し、就職を見据え、職場体験中。


スタッフ(インタビュアー)

廣瀬、丸山


吉祥寺愛をずっと引き継いでる


坂井 守るというよりなんて言ったらいいんだろう。僕も吉祥寺が好きだし、吉祥寺の魅力っていうのはやっぱり「個性」だと思うんで。

しかもね、いろんな人と知り合いになればなるほどやっぱりこう「愛」をずっと引き継いでるわけじゃないですか。「吉祥寺愛」を。



で、残したいなって思うし、やっぱりいい所をこう残すだけじゃなくてそれをプラス方向に使えば、商売は繁盛するわけじゃないですか。

そこは、行政が考えることじゃないし、やっぱり地域で考えていかないとダメだろうなっていう漠然とした考えがあって。

そこに一番危機を感じますね。商店会をどうやって維持していくかっていうか。



今の時代やっぱり商売には一生懸命で、地域にあんまり目が向いてない人が多いじゃないですか。

でも、たまたま今うちの商店会の役員が15人いるんですけど。地元の人は3分の1なんですね。あとはみんな外から来てここで商売をやるために地域も良くなるように自分たちは頑張りますっていって関わってくれてる人たちなんですよ。



そういう人たちを増やさないといけないですよね。

だからいろいろ考えますよ。



吉祥寺は良い街で居続けられるようにするのが僕のミッションでもあり夢



坂井 「愛」で続けばいいんですけど。「愛」だけじゃ続かないのもこれまた「愛」ですからね。

吉祥寺は良い街で居続けられるようにするのが僕のミッションでもあり夢でもあるというところですね。



広瀬 今後、もっと商店会のことが出来るように、(坂井さんの本業の)仕事は若い人たちに渡していくと仰っていましたね。

坂井 そうなんですよ。そうしないと時間がないんですよ。24時間では足りない(笑)

丸山 吉祥寺愛ですね(笑)

坂井 アホなんじゃないかって言ってる人もいますけどね。

丸山 坂井さんのような方がいないと、継承していけないのでしょうね。引き継ぐことがいかに大変で難しいかを感じます。



坂井 だから多分僕がやんなきゃいけないのは、もちろん「愛」も大事なんですけど、仕組みづくりだと思っています。僕が今やってる事を誰かに引き継ぐなんて、絶対無理だと思うんです。

自分だから、時間も含め、コントロール出来ることも多くある。

だからこそ、僕の代で仕組みに変えていきたいと考えています。

仕組みになれば誰でも出来るようになるじゃないですか。っていうところまでが僕のミッションなんじゃないかなとは思いますよね。



丸山 「吉祥寺」という多くの人が関わる、大きな街だからだからこそ、仕組みが必要なんですね。

坂井 そうだと思うんですよ。色んな人種がいるわけじゃないですか。色んな人種、色んな立場。だからね、仕組みにしちゃうのが一番、簡単なんじゃないかなって。

それを、「中道(商店会)ルール」とかにしちゃえば、それがよければ他の所も採用してやっていけばいいし。そういうアクションにしていきたいと考えています。






ホントにここ1、2年やりたい事ってこれだったんだなって、やっと分かった感じ



→さっちゃん 自分自身があんまりやりたい事(どんな仕事がしたい)が、正直あまり見えてないです。坂井さんは時代の移り変わりを見てこられて今の若者像をどういうふうに感じておられますか。



坂井 まずね、やりたい事という話でいうと。僕も実は、ずっと分かんないままやってんですよ。若い時はその都度、目の前にあるものをやっていた感じかな。

ゲームのステージをクリアしていくような感覚だけでやっていて、自分が何やりたいかっていうことを、ずっと探していた感じがするんですよね。



2002年に会社を作った時に、一応目標は立てて。それでも、実際に地域活動するようになってから、自分の思いとちょっとかけ離れたり。

色んなことを経て今現在ここにある。

ホントにここ1、2年、やりたい事ってこれだったんだなって、やっと分かった感じなんですよ。



やりたい事が早く見つけられる人もいれば、ゆっくり見つけていく人もいる。

で、お店をやってる人っていうのは、比較的早めにやりたい事を見つけた人だと思うんですよ。それがあるから、ああいうお店が形になる。

で、そのお店の形になったものは、元々、好きの延長線上なんじゃないかって凄く思うわけですよね。

だからやりたい事っていうより、好きな事が見つかってる人が、意外と早くやりたい事も見つかってるかもしれないって思いますね。



ただそれは別に、早いか遅いか、どっちが偉くてどっちが偉くないって話じゃないと思う。そう言ってる僕も人生を経てきて「今」頭で思ってたことが少しずつ形になってきている。

そのことで、なんとなく気持ち良くなってきてるっていうところを考えると、人それぞれだからなあっていう感じはしますね。





正解があるわけじゃないから、正解を求めなくてもいい



坂井 で、今の若者に対してどう思うかって(笑)



僕の会社にも二十代の子もいるし、商店街もホント色んな世代の人がいるじゃないですか。人生って長いからその時その時、ベストな状態でやれてるかどうかっていうのは皆それぞれ違うと思うし、逆に常に上手くいってなきゃいけない理由もないと思うんですよ。



貰ってる時間とか体験してる時間とかを、良いことも悪いことも楽しめる気持ちの余力っていうのかな、一杯いっぱいだと結構楽しめないと思うんだけど。

どっかに余白があって、ちょっと振り返ってそこで俯瞰して物事を見れたりとかすると、途端に「すげー馬鹿馬鹿しいな」って思ってたことが、面白いことになったりするような気がするんですよ。

だから、自分の心の中に余白があるとか、もっと言うと、その色んな状況を常に俯瞰して見れる視点だったり、心の余裕みたいなのがあると、楽しめるのかなとは思うんですよね。



だから別に、正解があるわけじゃないから、正解を求めなくてもいいんじゃないかな。

今の若い人たちにはそう言いたいなっていう感じですかね。



言い方を変えると「失敗を恐れるな」みたいな言い方になっちゃうかもしれないんだけど、そんな硬い話じゃなくて。

失敗することって当然あると思う。そんなの別に、最初から織り込み済みで考えていけば、失敗してもそんなに凹まないと思うんだよね。





「失敗しても、命取られることはないよな」って



坂井 なんでもね、ピンチって色々あると思うんだけど。ピンチになった時に、自分としてはこう考えるっていう、決め台詞がひとつあるんですよ。



「失敗しても、命取られることはないよな」って思ってるんです、常に。



プレッシャーがかかる現場とか、色々あるじゃないですか。

例えばお客さん商売してると、強力なクレームも受けるわけですよ。で、謝っても全然通じない人もいるんです。そういう時に、対等になっちゃうと喧嘩になっちゃうし、あとで自分が嫌な思いもするし。



だったらどう考えればいいかなって思うと最後はもう「命取られるわけじゃないから別に言わしときゃいいや」ってそういう風に考える。

そうしておくと、すぐに正解を求めなくてもいいと思うし、上手く行ったら百倍喜んで。失敗してもちょっと悲しめばいいぐらいで「次行こう!はい、次、次!」って思える。






人それぞれ、生きる道は違って当たり前



坂井 やりたい事が見つからない人は、さっき言ったみたいに別に焦る必要は全然ないと思う。棺桶に両足突っ込んだ時に、分かる事もあるかもしれないわけだからさ。



振り返ってみて「楽しかったな」って思える人生だったら、別にどんな人生でもいいと思うし。正解ってその人にとって一つじゃないし。

皆がその正解だから、僕もその正解じゃなきゃいけないって、考えなきゃいいんじゃないのって思うけどね。



例えば仕事してなきゃいけない理由も、僕はないと思っていて。その人その人の生きる道っていうのは、人それぞれ、生きる道は違って当たり前だと思うわけですよ。

だからその当たり前なことを、お互いに当たり前だって思える人間関係さえあれば、安心して、ドロップアウト出来るわけじゃないですか。

僕は別にそれでいいと思うんですよね。



その道を選んだのだったら、少なくともそれを知ってる周りの人たちは、その選択を否定するんじゃなくて応援してくれるよね、絶対。

そんなに正解を求めなくていいんじゃないかなって思うし、見つけなくてもいいんじゃない?

まあ、何にもしてなくてもいいんだけど、その時間がハッピーだったら、それでいいんじゃないって思える自分でいられれば、そのうち何かしら見つかると思うし。



僕は少なくとも60に手がかかるところになって、やっと見えてきたっていう所なので。



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Youth Lab

1974年より、子どもたちの学習支援や不登校児童の居場所づくり、 若者の社会参加や就労支援を行ってきた、 文化学習協同ネットワーク(認定NPO)と若者たちが出会う人や世界について、 そして、若者たちが自分自身を再発見するための学びの時間について発信していきたいと思います。