なにをすればいいの?~若者達の悪戦苦闘~④【DTP集中訓練プログラム7期生報告集より】



『DTP集中訓練プログラム』とは?



この報告集は、厚生労働省の委託事業として実施している若年無業者等集中訓練プログラム(通称:集中訓練プログラム)の一環として制作されました。

このプログラムでは、地域若者サポートステーションに登録した若者が一定期間ともに活動し、コミュニケーションスキルを培ったり、生き方・働き方などについて模索しながら多様な学びを体験するものです。


今回は、この『DTP集中訓練プログラム』の第7期生の報告集※より、記事を一部抜粋し、5話連載でお送りします。


※「働くことへの不安や抵抗感」を感じる若者たちが、「将来に希望がありそうな気がする」と思えるようになった悪戦苦闘の日々や、若者たちが日ごろお世話になっている事業所の方々のインタビュー、OBたちの言葉が詰まった報告集は、現在『むさしの地域若者サポートステーション』にてご覧いただけます。




Nさんインタビュー


私たちが今活動している、集中訓練プログラムから、当時発足して間もないユースラボに加わったNさん、彼に話を聞いた。



Q 働き始めたきっかけは?

A きっかけは特になかったけど、ラボの作業を見て、楽しそうだと思った。


Q 不安や抵抗感はありましたか?

A 集プロからすぐに入った経緯もあり、あまり抵抗感や不安はなかった。高校からひきこもりになり、サポステ、リンクと繋がった経緯があり、自分にとってこの仕事は、悪いイメージがなかったのもあるかも。


Q 今の仕事について教えてください

A DTPが主な仕事で協同ネット繋がりの仕事をしていて、チラシのデザインや、最近だと動画の作成もしようとしている。立場は、協同ネットの団体職員。週5日で10時~19時までの勤務。


Q はじめはどんなふうに仕事を教えてもらっていましたか?

A 集プロが研修期間のようなものだった。興味を持った組版などは自分でも勉強していた。最初は自分から組版がやりたいと希望し、教えてもらった。立ち上げ時期で人手はあり、話し合える時間を確保できていた。




Q 変わったこと、気づいたこと

A 世の中は割と適当に回っている。立派な大人はほぼいない。メールはそんなに仰々しくない。色々わからないまま仕事をやっている人も結構いる。教えられることがある反面、教えることも多い。完璧にやるものではない。


Q 仕事は楽しいですか?

A 楽しい。仕事の内容も好き。特に組版。フォントは眺めているだけでも楽しい。集プロでの経験から文字を好きになり、好きなことが仕事になった。仕事はしんどいと思うこともあるけど、やめないだろうと思う。それは、協同ネットやユースラボの方針や姿勢に共感しているし、仕事も自分のやりたいことをさせてもらっている。この仕事の意味を理解して、できることが大きい。


Q 今後やってみたいことは?

A ユースラボで一緒に仕事してくれるメンバーが増えてほしい。一人だと、どうしてもやれることに限りが出て来てしまう。別の新しい仕事を受けたり、チャレンジする余裕がない。またラボ自体の「働き方を考える」ということも一人では難しい。個人的なことだと、技術を身に着けて、出来ることを増やしたいというのはある。今の仕事は他の人が発信することを助ける仕事だが、将来的には自分でも新しい働き方を発信していきたい。




Mさんインタビュー


むさしのサポートステーションの色々なプログラムを経て、現在アルバイトという形で働いているMさんの姿をQ&A形式で紹介していきたい。



Q 働き始めたきっかけは?

A 色々なプログラムを経て少しずつ働く流れができていた。その流れを止めたくないという思いがあって、風のすみかベーカリー研修プログラムに入った。そのすみかで経験を積み卒業した後、後輩ができた刺激などから、自分もそういう時期なのかと思った。興味のある方向に進みたいという思いもあり次の居場所を探していた。プログラムの外部研修で保育と介護の施設での体験に入らせてもらった。両方共、自分の興味のある仕事だったけど実際体験をしてみると、子どもと接する保育の仕事により興味があった。今働かせてもらっている西久保保育園は、その時の保育研修先の施設。そこで保育補助として働いている。


Q 仕事の不安や抵抗感はありましたか?

A 保育の仕事に対して、単に興味があるだけでやっていい仕事なのかという疑問もあった。その仕事の知識について、何も知らないような状況で保育の仕事に入っていけるのかという不安は一番大きく、最初は何をしてはいけないのか、何が危ないのかさえ分からなかった。

そういった不安は今でもあるが、逆に、多少の緊張感を持てることは必要だと考えている。職場の先生たちは「そんなに背負い込まなくて大丈夫ですよ」とも言ってくれて、安心して仕事に入れている。




Q 今の仕事について教えてください。

A 当初より少し増えて、週五日午後から働いている。実際の業務としては子どもたちと遊ぶ保育補助や、コップの洗浄など清掃業務を行っている。


Q 仕事はどのように教えてもらっていますか?

A 基本的なことははじめに教わって、分からないことは一緒に働いている人に、その都度聞くという形、そんなに難しいことはないし、分からないことは気軽に聞ける環境で働かせてもらっている。


Q 働く中で変化したことはありますか?

A 『~しなければいけない』と考えて自分で気負ってしまっていたものが、仕事でも楽しんでいいという方向に変わってきた。いままでは楽しむチャンスを自分から遠ざけていたように思う。


Q 今の仕事は楽しい?

A 楽しい。こまった時などには、質問して良い環境でやらせてもらえている実感もある。


Q 今後やってみたいことは?

A 今は物事を続けていくことを意識して取り組むのが大事なのかなと思っている。保育のことはもっと勉強したいし、保育士になるかは別として、資格もとりたいと思っている。


Youth Lab

1974年より、子どもたちの学習支援や不登校児童の居場所づくり、 若者の社会参加や就労支援を行ってきた、 文化学習協同ネットワーク(認定NPO)と若者たちが出会う人や世界について、 そして、若者たちが自分自身を再発見するための学びの時間について発信していきたいと思います。