ムサシノPeople interview番外編 feat.中道通り商店会 其の六


ムサシノPeople interview


私たちが暮らしている地域には、人や街を大切に思いながら日々活躍している方々がたくさんいらっしゃいます。協同ネットに集い活動している若者たちも、そういった地域の方々に日頃から大変お世話になっています。


そんな日頃お世話になっている地域の方々のこれまでの人生にフォーカスしたお話をお聞きすることで、再び出会い直し、たくさんの刺激を受け、人生について考え学びたい!そしてもっともっと知り合いになりたい!という、ちょっぴり図々しい連載企画です。



中道通り商店会コラボ企画 「茶話会 地域の人に出会おう!」


2020年のムサシノPeople interviewで、中道通り商店会会長の坂井さんへ若者がインタビューをしたご縁から、コロナ禍でイベント開催ができない中、武蔵野の地域で若者と地域のみなさんが出会う機会がつくれないか坂井さんに相談してきました。


今できることは「出会い、話すこと」。


そこで、定期的に中道通り商店会のみなさんをお招きし若者ともに茶話会を開くことで、商店会の人たちと出会い、価値観や視野を広げる機会にしていこう、そして、お互いに声を掛け合えるようなかかわりのきっかけにしたいよね、と2021年7月に第一回目を開催。


現在、年に2、3回のペースで開催しており、今後継続的にYouth Lab内にて『ムサシノPeople interview番外編 feat.中道通り商店会』 と銘打ち発信していきたいと思います。


吉祥寺中道通り商店会HP

https://kichijoji-nakamichi.com/


ABOUT  /  吉祥寺中道通り商店会

280会員(220店舗)のグローバル企業から個人商店まで集まる商店会。個性的な路面店も多く、休憩スポットとなる公園も2つあることからお子さん連れの方も多いことも特徴。幅広い層でいつも賑わっている商店会です。




ムサシノPeople interview番外編 feat.中道通り商店会 其の六

株式会社ユニクロ

吉祥寺店 店長 工藤 愛 さん

ABOUT / 株式会社ユニクロ 吉祥寺店


2014年秋、吉祥寺の中道通りの入口に(つまりは吉祥寺のど真ん中に)にオープンした、7階建ての大型店舗。7階にある『KICHIJOJI SPECIAL』には、夏には旧中道神輿が展示されていたり、2階エスカレーター脇には、吉祥寺のあらゆるお店を紹介するコーナー『マッピンジョージ』があるなど、ユニクロにいながら吉祥寺の街を体感できる、地域密着型の特色があります。



若者 

Tさん、Wさん、Kさん、Aさん、Mさん、Sさん

中道通り商店会 

会長 坂井さん

スタッフ

廣瀬、加藤、掛橋、丸山



地域密着型の店舗は吉祥寺店が初めてで、地域とのつながりの深さ、長さも吉祥寺店の特徴だと考えています。



吉祥寺中道通り商店会の入口に建つ450坪7階建てのユニクロ吉祥寺店。工藤さんは、一年前より吉祥寺店に着任されました。ユニクロには、2016年に入社し、勤務歴8年目とのこと。


グローバル企業の『ユニクロ』は、メンバーにとってもとても身近に感じられるため、今回もメンバーから素朴な『ユニクロ』への質問が多く出ました。事前に若者たちから出ていた質問の一部はこちら。


・ユニクロの仕組みを知りたい

・スタッフはユニクロブランドを上下着てる?

・生花を店頭に配置し、洋服と一緒に販売する理由は何ですか?

・一商品一回でどの位入荷するの?品数はどの位?

・店長がすべて把握しているの?

・店長の仕事って?

・服ってどう選んだらいいの? …など



メンバー/ 地域密着型の戦略はどうしているのですか?

「中道通り沿いのショーウィンドウを、中道通り商店会とコラボし作成しています。吉祥寺店限定のコラボTシャツも作成し販売しています。例えば『吉祥寺さとう(精肉・お惣菜販売)』のTシャツ、『挽肉と米 吉祥寺』のTシャツ、『PAPER MESSAGE』のTシャツ等…他にも、地域のワークショップも開催しています。」


「地域密着型店舗を実現させるため、地域施策担当スタッフがいるのも吉祥寺店の特徴です。担当職種というのは通常、本人の要望を聞きながらジョブローテーションしていくのですが、地域施策の場合は『飯島さん』に専属でお願いしてます。吉祥寺店がオープンして来年で10周年ですが、10年前から変わらず『飯島さん』が顔で繋がっている強みがあります。地域密着型の店舗は吉祥寺店が初めてで、地域とのつながりの深さ、長さも吉祥寺店の特徴だと考えています。そして、地方のスタッフがそういった取り組みを勉強しに来るような店舗でもあります。」



メンバー/ 2階に椅子がある理由は何ですか?

「2階に『マッピンジョージ』(吉祥寺を紹介するスペース、吉祥寺について知ってもらいたいというスペース)を設置しています。そのことも吉祥寺店の特徴です。地域密着型についてなど、方針などは店長が決めることができます。吉祥寺店は、地域密着型店舗として会社としても力を入れているので、より他事業部も巻き込んで、様々な挑戦ができる店舗でもあります。」



それは負けず嫌いから来ていることかもしれないのですが、失敗した全てを学びにしたいと思ってノートに書いてきました。



廣瀬/ ここから、工藤さんご自身のことをお聞きしたいと思います。

「大阪の生まれで、就職活動の時には学生時代、USJでずっとアルバイトをしていました。接客業には以前から興味があり、ジェットコースターの担当をしていたのですが、現場では多くのスタッフがチームになり協力し動かしています。そういった経験から、同じようにチームで働くことをイメージしていましたし、『人の役に立つ仕事をしたい』と考えていました。さらに『自分の好きなもの』の仕事に就きたいという気持ちがあり『宝塚』なども候補に挙がる中で、最終的に『ユニクロ』に就職しました。」


「最初はレジ打ち、畳み方など一から覚えます。入社当初は他のスタッフより覚えが悪く、大変苦労をしました。その後、一年半で東京郊外の店舗の店長へ。最初に経験した店長という仕事は失敗を沢山して、上司や先輩に助けて貰いながら経験となりました。その後、原宿に大型店舗がオープンした際には、副店長として大型店舗の経験もしました。」



「入社当初は、宝塚を諦めたという気持ちがあって、自信を回復したい気持ちから『早く店長になること』を目標に働いていました。自分がこういうことをしたいとか楽しさも働く中で変わってきていて、今は『ユニクロの楽しさをスタッフに広げていくこと』を意識しています。そして『ユニクロと言えば、吉祥寺。』と思ってもらえるような店舗づくりを目指しています。」



メンバー/ 工藤さんが目指すのは世界ですか?地域ですか?

「吉祥寺店を少しでも多くの人に知ってもらいたいと考えています。海外で地域密着型の商売を伝えたいとも考えています。ユニクロの服があることで、少しでも多くの人々の生活を豊かにしたい。そして、自分の好きなユニクロを少しでも多くの人に広めたいという気持ちが強いです。それは、大変というよりも、楽しい気持ちの方が強い。一秒でも多くユニクロのことを考えたいですね。」



廣瀬/ これまでを振り返りながら『こういうことだったんだ』と学びにすることがとてもうまい人だと思えるのですが、いつからだと思いますか?

「いつも何かあった時に、ノートに書くことで客観視することをしています。それは負けず嫌いから来ていることかもしれないのですが、失敗した全てを学びにしたいと思ってノートに書いてきました。そして、そのノートを振り返ると、こういう時に自分は悩みがちだと気付けることも多くあって…ノートを書き、振り返ることで自分をマネジメントしてきたと思います。」



廣瀬/ 若者たちの思いとして『失敗が恥ずかしい』『自分の失敗に向かえない』『自分の出来なさや弱さに向き合うことが怖い』ということが多いのですが、そういう若いスタッフに工藤さんは、どう接していますか?

「弱みを見せてはけない、失敗してはいけないと思っていた新人店長の時代に、失敗を見せていいんだと気が付けたことが自分としては大きな経験でした。失敗しないようにすることよりも、挑戦することが大切だということ。そして、みんなこういう経験をして今があるのだと伝えるようにしています。」


こちらに掲載していないものも多くありますが、当日は若者たちから、本当に沢山の質問が出ました。その質問一つ一つに笑顔で気さくに、そしてとても丁寧に返していただいていたのが印象的でした。日頃から、対話を大切にされている工藤さんのお人柄が伝わる2時間でした。


工藤さん、坂井さん!有難うございました!


 

ユニクロ吉祥寺店 工藤さんのお話しを聞いて

若者感想


●リンクで、ユニクロ吉祥寺店の店長にお越しいただきお話を聞く機会があったので行ってきた。店長の工藤さんは、店長という肩書きから想像していたそれより若めの女性で、ハキハキした感じの方でこちらの質問にも即座に答えていただいた。

 面白いと思ったことは、ユニクロ吉祥寺店はその特色として「地域密着型店舗」らしく、大手チェーンでありながら地域に根差すような活動も行っているらしい。確かに実際に行ってみると、地元の有名店の紹介ボードが飾ってあったり、そういったお店とのコラボTシャツを売っていたり、他にもお神輿や井の頭自然文化園の展示があった。恐らく、こうやって地域の就職支援組織に来てくれたのも地域密着活動の一貫なのだろう。店長さん自身がユニクロの「地域密着型店舗」を置く方針に魅力を感じている様子で「将来的には地域密着の価値を世界などにも伝えていきたい」と話していた。

 印象に残ったことは、「新入社員に何を求めるか?」という質問に対しては「積極的にチャレンジして欲しい」その後「失敗しても得るものはあるはずなので、社員が失敗を恐れすぎないようにフォローするのが上司の仕事」だとも話していた。

 他にも、工藤さんの経歴や面白い話が聞けた。大企業の要職の方にお話を聞ける機会は非常に貴重だと思った。今後もこのような機会があったらぜひ参加したい。



●ユニクロという身近な大会社の仕組みを知る事ができて、とても勉強になりました。全国でも有数の規模を誇る吉祥寺店さんならではの話や、工藤さんが吉祥寺店の店長に至るまでの生い立ちを知れた事は、非常に刺激になりました。自分も工藤さんの様に失敗を恐れずに、日々挑戦していきたいです。



●「工藤さんのお仕事に対する向き合い方について」

周りからどう見られるかを気にするより、仕事や場をどう良くしていくかを考えるという言葉が、そこに囚われがちな自分に重なって印象に残りました。

 「地域とどう関わっているかの話について」

店長が数年に1度替わると聞いて、人材流動性の高い現場と、地域の方との密な関係性が重要となる地域密着型の経営には難しい所もあるのではないかと気になっていました。実際は長く地域担当をされている方がいると聞いて、地域に根差す関係性作りにはやはり時間も必要だということを感じました。



●ユニクロ店長目線のお話も面白かったが、工藤さん目線のお話がとても面白かった。もっと聞いてみたい。新人店長時代、近しい人たちを大切にする事で、周りの声も気にならなくなったり、気持ちは書いて整理していたり…自分の参考になるワードをいくつも得る事ができた。

 (自分としては)" 少しでもいいから、どこかしらで発言はしよう "と決めてトークに望んだ。次の参加があれば質問にも挑戦してみようと思う。



●都内のユニクロの中でも大型店にあたる吉祥寺店。そこで店長というプレッシャーもある中、日々、頑張っていらっしゃる工藤さんのお人柄が良く伝わってきて、様々なお話が聞けて、刺激を受けました。

 皆さんからの質問も多かったので、話が途切れることのない茶話会でした。吉祥寺店の店舗の側面のガラスに、中道通り商店会内の店舗の絵が描かれているのが実は以前から不思議でしたが、地域密着型店舗とのことで、今回腑に落ちました。



●ユニクロ吉祥寺店 店長 工藤様

先日は貴重なお話をありがとうございました。成功体験ばかりではなく、失敗談も含めて率直にお話し下さり感謝しております。また、店長やエリアマネージャーなど、新しいことに次々と挑戦なさっている姿が非常に印象に残っております。

 加えて、貴店が旗艦店ではありながらも、地域密着型の店舗でもあるという店に特色があると感じました。地域のお店とコラボレーションしてオリジナルTシャツを手がけていらっしゃるというお話はとても興味深く拝聴致しました。日々ご多忙のことと拝察致しますが、お身体にお気をつけてお過ごし下さい。

 末筆ながら、このような貴重な機会を設けて下さいました、吉祥寺中道通り商店会会長の坂井様によろしくお伝え下さい。


Youth Lab

1974年より、子どもたちの学習支援や不登校児童の居場所づくり、 若者の社会参加や就労支援を行ってきた、 文化学習協同ネットワーク(認定NPO)と若者たちが出会う人や世界について、 そして、若者たちが自分自身を再発見するための学びの時間について発信していきたいと思います。