ムサシノPeople interview番外編 feat.中道通り商店会 其の四
ムサシノPeople interview
私たちが暮らしている地域には、人や街を大切に思いながら日々活躍している方々がたくさんいらっしゃいます。協同ネットに集い活動している若者たちも、そういった地域の方々に日頃から大変お世話になっています。
そんな日頃お世話になっている地域の方々のこれまでの人生にフォーカスしたお話をお聞きすることで、再び出会い直し、たくさんの刺激を受け、人生について考え学びたい!そしてもっともっと知り合いになりたい!という、ちょっぴり図々しい連載企画です。
中道通り商店会コラボ企画 「茶話会 地域の人に出会おう!」
2020年のムサシノPeople interviewで、中道通り商店会会長の坂井さんへ若者がインタビューをしたご縁から、コロナ禍でイベント開催ができない中、武蔵野の地域で若者と地域のみなさんが出会う機会がつくれないか坂井さんに相談してきました。
今できることは「出会い、話すこと」。
そこで、定期的に中道通り商店会のみなさんをお招きし若者ともに茶話会を開くことで、商店会の人たちと出会い、価値観や視野を広げる機会にしていこう、そして、お互いに声を掛け合えるようなかかわりのきっかけにしたいよね、と2021年7月に第一回目を開催。
現在、2か月に一度のペースで開催しており、今後継続的にYouth Lab内にて『ムサシノPeople interview番外編 feat.中道通り商店会』 と銘打ち発信していきたいと思います。
吉祥寺中道通り商店会HP
ムサシノPeople interview番外編 feat.中道通り商店会 其の四
たかの総合整骨院
院長 高野 宗春さん
ABOUT / たかの総合整骨院
今年4月に開業から丸9年目を迎えた地域密着型の整骨院。お客さまと相談しながら、お一人ひとりに合った、安心安全の治療をモットーに施術を行い、怪我だけでなく介護やスポーツにおける予防医療にも力を入れている。
若者
KSさん、KBさん、SKさん、ISさん、KTさん、HGさん
中道通り商店会
会長 坂井さん
スタッフ
廣瀬、大山、丸山
しかし、それが(「失われた10年」と父に言われていた期間)あったから今があると今は思える。子どもたちとも出会えたし。そこに無駄はないと思っている。
「柔道整復師」(国家資格)をお持ちで、武蔵野市に「たかの総合整骨院」と「三鷹あゆむ整骨院・鍼灸院(分院)」の二店舗を開業されている高野さん。
小学生の頃は卒業アルバムの「将来の夢」の所に、大病をされていたお父様のお仕事を手伝い、支えたいと考え「公認会計士」と書いていたと言います。
その後、公認会計士を目指すべく関連の高校、大学と進み、そのまま国家資格を目指そうと試験に取り組みますが、当時、公認会計士という国家試験に対して「父と一緒に仕事がしたい」と考えていた一方で、お父様は大病から回復され、仕事の規模も大きくなり沢山の人に囲まれ働かれている様子を見つめながら、会計士を目指す意味を見失い悶々としていたそうです。「何してるんだろう?何のために生きてるんだろう?世の中の役に立ってない、役に立つ仕事ってなんだ?」と悩み、福祉ボランティアを決断。そこで自閉症や知的障害の子どもたちがと出会い、様子をみていた親御さんたちに「高野さんは間が良い、待っていられる」と認められるようになっていきます。
それまで「社会に必要とされているのか?」と考えていた高野さん。「そこに来て、自分にとっては『存在を承認』してもらえた感覚があった」と言います。そこで働き、充実した楽しい時間を過ごす中で、痛覚が麻痺していたり、捻挫やけがをしていても表現が苦手な子どもたちの様子に気がつき、周囲の腰痛を抱えた介護のスタッフも見つめながら「そういう人を治したい」と「柔道整復師」の仕事を考えるようになったそうです。
「ボランティア時代は、父からすると一緒にやると言ってたのに、何でその道行ってんだ?と思っている面があり、その時代を父からすると『失われた10年』と表現していた。自分からすると奥さんと出会ったし、今の仕事も見つけることができた。勿論、国家試験の失敗など、みんな今に繋がっている。しかし、正直、自分もこないだまで「失われた10年」と言われ続けていることでそう思い込んでいた。しかし、それがあったから今があると今は思える。子どもたちとも出会えたし。そこに無駄はないと思っている」
高野さんのこの言葉は、若者たちの心に深く響きました。
「みんなを健康にして、周りの人が笑顔にあふれる世界にしよう」芯にあるのはずっと変わらない
「みんな(世の中の人)を健康にして、周りの人が笑顔にあふれる世界にしよう。芯にあるのはずっと変わらない」と仕事への思いを語る高野さん。「仕事をして良かったことは?」という若者の問いには「患者さんから「有難う」と感謝の言葉を言われること。しかもお金までいただいて。こんな仕事ないなと思う」「辛い、辞めちゃいたいと思ったことはないですか?」という問いには「正直、凹んだこと、ビビったことは結構毎日のようにあるし。痛みが取れない時。当然凹み、未熟さも感じる。次に来てくれるのか、来てくれないのか?そういう不安も感じる」
等身大で語ってくれる高野さんの一言一言には、高野さんの常に「誰かのために」というお人柄がにじみます。最後に、これから描く「夢」についても語っていただきました。
「ここに(中道通り商店会)開業して、もっと寄り合いたいと思うようになった。じつはこれから『妊活』に力を入れていきたい。子どもをつくる時期というのは夢のある時期なはず。しかし、不妊治療は体の痛みなどもあり辛いイメージが強い。整骨院でもできることがある。妊活の前の段階で身体を元気にしたい。地域で何かそういった元気になるような活動ができると良いと考えている」
高野さんのお人柄を感じるお話しに、茶話会終了後も若者たちの熱気は暫く続きました。
高野さん、坂井さん、本当に有難うございました!
たかの総合整骨院 高野宗春さんのお話をきいて
若者感想
●お話を伺う前、どうして整骨院で働こうと思ったのか、その経緯がとても気になっていました。当時ご病気だったお父様を助けたいという想いから、会計士を目指されていましたが、なかなか国家資格を取得する事ができず、悩んでいらっしゃいました。少しでも社会の役に立ちたいとボランティア活動を始めた事がきっかけで、柔道整復師を目指されるようになり、資格取得後にご自身の整骨院を開院するに至った、というお話をして頂きました。
その経緯を聞いて、高野さんのお人柄がとてもよく分かりました。会計士を目指されていた時も、ボランティアを始めた時も、柔道整復師になろうと決意した時も、高野さんは人生の節目の選択をする際、その理由がいつも人の為であると、個人的には思いました。高野さんは目の前にいる誰かのために尽力できたり、人の役に立てる事にやりがいや喜びを見出せる方なのだと思いました。高野さんのそのような在り方に、とても感銘を受けました。
また、自閉症や認知症の患者さんの施設でボランティアをされていた際、専門的な知識は全く無かったけれど、患者さんへの接し方が良く、感謝されて嬉しかったとおっしゃられていました。まわりの人から認められたり、感謝されたりする事で、自分の中の適性ややりがいにお気付きになって、それが今のお仕事に繋がっていらっしゃるのだと思いました。
自分の全てを犠牲にする必要は無いけれど、目の前の人のために自分は何ができるのか、それを考える意識は、働く上でとても大切な事なのだと思いました。自分が真摯に行動する事で相手から感謝されて、それが自分の励ましや喜びになり、活力へと繋がる。仕事をする上で一番大切な事に、改めて気付けたような気がします。貴重なお話を伺えて、本当に良かったです。
●二十代後半から専門学校に通い、資格を取るための勉強を始められたという所がとても印象的でした。私は今三十歳で、今の仕事を辞めて別の仕事に就こうか悩んでいます。その時にどうしても、新しい事を始めるには「私の歳ではもう遅いのではないか」と、気後れしてしまいます。
けれども、高野さんの「世の中のために何かしたい」という強い想いを聞いて、自分が本当にやりたいことなのであれば、年齢はさほど関係無いことなんだなと、実感しました。
●柔道整復師を目指された経緯や仕事に対する思いを深いところまで聴かせて頂きました。最初から柔道整復師を目指されていた訳ではなく、試行錯誤の中で現在のお仕事に就かれているということをお聞きして、自身の今の現状にどういう意味があるのか考えさせられました。特に、「失われた10年」と親に言われたことだったり、ボランティア活動を通して自身の存在を認められる感覚を得られた経験を話して下さったことが印象的でした。
高野さんの「皆を健康にして笑顔溢れる世界にしたい」という強い思いが、仕事を続けていくエネルギーになっているんだなと感じました。
●はじめに、子供の頃から父と仕事がしたくて公認会計士になりたいと思っていたとおっしゃていて、どうして今の仕事についたの不思議に思いながら聞いていた。公認会計士の国家試験に挑戦していた時期の「世の中の役に立ってない」というのは自分にも覚えがある気持ちで、ただそこからボランティアをしようと思って行動に移せるのがすごいと思った。そこでの体験が今の仕事に繋がったとおっしゃっていて、話全体を通して目の前の人を笑顔にしたいという気持ちが根底ににずっとあり、それがあるからボランティアに行ったり怪我を治して笑顔にしたいという行動や理念につながっているのだろうと思った。
今後については妊活関係の活動をしたいと話されていた。その理由が不妊治療は痛みや食事などつらいイメージがあるが、本来は赤ちゃんが生まれる夢のある時期でありもっと笑顔にしたいからということで、動機が一貫していてブレないことがすごいと思った。
個人的には、ボランティアなどの期間をお父様に失われた10年と言われて、自分でもそう思ってたが、今では無駄ではなかったと思えるようになったとおっしゃっていたのが印象的だった。状況は全く違うが私もひきこもりの期間に無為に過ごしているだとか人の役に立ってないとか思っていて、今もそこから抜け出せずに"だから今がある"というように肯定的に受け入れられずにいる。無駄でなかったと自然に思える日がくるのかなと今後に希望が見えるように思った。
また、知り合った周りの人から影響を受けたりすることを「社会」と表現されていたのも印象に残っている。お話を聞いて、今回のインタビューのようにもっと色々な人の生き方・考え方を知りたいという気持ちが強くなった。
お忙しい中お時間をとってくださり、ご自身の気持ちを率直に語ってくださってありがとうございました。
●今回高野さんのお話をお伺いし、業務内容も興味深かったのですが、それ以上に「その仕事に就こうと思ったキッカケ」や「失敗やつらい時期に何を考えどの様に折り合いを付けたのか?」また「学校や施設で働いていた際の何気ない行動や心の動き」「親の目からは無為に写っていた時期が振り返った時、自分にとっては決してそうではなかった」という話。そして「他者の目に映る自分を意識しすぎる事は自分自身を小さくしてしまう」といった人生観や観念的な話がとても深く印象に残っています。
自分の悩み相談的な質問にも答えて頂けたのはとても有り難い時間で、私自身にとって本当に充実した時間になりました。ありがとうございました。
●高野さんの話を伺っていると、「人の為になりたい」という思いが一貫してあり、優しいお人柄がにじみ出ていました。
障がいのある子どもの所でボランティアとしてヘルパーをやっていた時期があったとのことでしたが、子どもたちが安心して高野さんと接する事が出来ました。その為スタッフとして働いてみないか、と言う話があったそうです。「自分が必要とされているのを感じた」と仰っていたのが印象的でした。
整骨院の仕事をやっていてよかった、と思う瞬間は患者さんに「ありがとう」と言われた時との事でした。「風のすみか」のパンを食べたお客さんに「美味しかった」と言われた時と同じような感覚なのだと思いました。
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