ソーシャルファームとしてのDTPユースラボへの展開へ


DTPとは?


DTPとは、Desktop Publishing(デスクトップパブリッシング)の略称であり、字義的には卓上出版を意味しています。具体的には、雑誌や書籍、新聞などの出版物をPC上で組み上げ、印刷所に渡す原稿となるデータを作成することが主な役割となっています。


PCが普及する前までは、印刷までの作業工程は、デザイン、組版・版下作成、製版などがあり、それぞれの作業は専門家により分業化されていましたが、DTPではこれらの作業をすべて1人で行うことが可能となっています。組版専門のアプリケーションソフトを使って文字や画像・図形などをレイアウトし、出版物の仕上がりをイメージしながら制作することができます。


DTPユースラボでは、このDTPに関わる様々な仕事を若者たちで話し合い、分担しながら作業を進めていきます。


DTPユースラボとは?


小中学生の親たちの要求から、子ども・若者の成長・発達の場づくりに取り組んできた文化学習協同ネットワーク(協同ネット)は、中小企業の協力を得て2017年に、DTPユースラボを立ち上げました。


学歴や経験を問わず、若者自身が働きやすい職場をつくり出し「自立」していくことができる、その周辺に緩やかに参加してゆきながら体験に基づいて働き方・生き方の方向性を学びとっていくことができる、そんな場を、協同の力によって創り上げていくことを目指します。


DTPユースラボのビジョン


▶よい仕事、よい働き方の追求


誰もが幸せに生きていく展望(希望)をみつけていくためには、人や社会と心地よい関係を結びながら働くモデルがたくさん必要だと考えています。そんなモデルに出会うために、効率だけでなく職場内外を問わず対話をしていくことを大切にしたいと考えます。


▶就労に緩やかにつながる場づくり


働く上での「標準的なライン」に達していない(であろう)自分を意識することで、委縮し立ちすくんでいる若者は少なくありません。彼らのやり直しを支えるために、周辺的な参加から、緩やかに仕事につながっていく就労への移行システムの構築をすすめます。


▶中小企業と連携・協力


DTPユースラボは、協力企業から技術・仕事・職場を提供していただくことで成り立っています。また、就労を目指す若者を多数の企業で受け止めていく企業間のネットワークを構築し、企業と若者双方が納得できる形でつなげていきます。



ソーシャルファームとしてのDTPユースラボへの展開へ



若者とともにパソコンを使った仕事おこしに挑戦するDTPユースラボは、これまで書籍・パンフレット・チラシなどの印刷媒体やWebページ、動画制作などの仕事を協同ネット内や地域から受注してきました。


三鷹市で子育て支援に長年取り組んできた思いや歴史に触れた「子育てコンビニ」のホームページ制作や、支援事業をともに考え関係を築いてきた武蔵野市の「福祉総合相談窓口」のチラシ制作、その他協同ネットが関係している個人や団体からの仕事を通して、メンバーたち自身も新たな出会いや関係をつくってきています。


競争的価値観のなかで誰かを蹴落として生き残っていくような働き方・生き方に対する疑問は多くの人の中にくすぶっているのではないかと感じます。より大企業(待遇の良い仕事)に乗っていけばより豊かな生活が保障されていくというバブル崩壊前のような生き方・働き方モデルに代わる新たな働き方・生き方モデルを提示していくことを目指しています。


他方、東京都では、2020年4月からソーシャルファーム条例に基づく認証制度がスタートしました。障がいやひきこもりなど、さまざまな事情で就労が困難な人たちも働いて収入を得ていくことを目指す事業体をソーシャルファームとして都が認証し、軌道に乗るまでの5年間について補助金を投じ、経営相談も行います。この条例によって、新たな働き方・生き方モデルが生み出されないかと期待しています。DTPユースラボも2022年度10月の認証に向けてエントリーすることができました。


ソーシャルファーム条例を活用して地域コミュニティで必要とされる仕事をつくり、人とのつながりのあたたかさややりがいを感じながら生きていける形が見えないだろうか。DTPユースラボでは今、そんなことを語り合いながら、ひとつひとつの仕事に向きあっています。

昨年12月に行われた協同ネット公開研修会の『なぜ学ぶのか なぜ働くのか 報告集(定価500円)』も、DTPユースラボが制作しています。

Youth Lab

1974年より、子どもたちの学習支援や不登校児童の居場所づくり、 若者の社会参加や就労支援を行ってきた、 文化学習協同ネットワーク(認定NPO)と若者たちが出会う人や世界について、 そして、若者たちが自分自身を再発見するための学びの時間について発信していきたいと思います。